第50代理事長 小畑 堅
はじめに
一般社団法人黒磯那須青年会議所は、昭和49(1974)年に「明るい豊かな社会」の実現をスローガンに設立されました。定款でこの法人の目的は「地域社会及び国家の政治・経済・文化等の発展を図り、会員の連携と指導力の啓発に努めるとともに、国際的な理解を深め、世界の繁栄と平和に寄与することを目的とする。」とあります。
我々は今日に至るまで、那須塩原市、那須町と協力し、行政と住民のパイプ役として地域社会をより良くするために様々な運動を展開してきました。
昨今、当LOMでは2020年からの世界的に猛威を振るった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、県内外の活動範囲や行動制限もあり、メンバー間のコミュニケーションもままならない状況でした。私が想うJCの価値は、20~40歳までの異業種の集まりの中でお互いの考えや気持ちをぶつけ合い、切磋琢磨しながら定款の目的を向上させることができる事だと考えます。
我々が社会から求められている事は、人・物・会社・地域の課題解決に努める事、地域を豊かなまちに発展させる事です。そのために本年は50周年という節目の年を迎えるので、発足時の目的意識を持ち、黒磯那須青年会議所はさらなる高みを目指していきたいと考えます。そのためにも地域社会の発展に貢献できるような人材育成や、花火大会や祭りなど伝統行事の開催や維持にも努め、人・地域を巻込み、今まで先輩方が情熱をもって築いてきた黒磯那須青年会議所を温故知新の精神で新たな事にも恐れず挑戦し、より地域社会に求められるような団体構築を遂行していく所存です。
最大のJC運動 「会員拡大 純増10名」
総務省統計局によると平成27(2015)年国勢調査の人口速報集計結果を発表されました。『日本の人口が、1920年の国勢調査開始以来、初めての減少となった。今後、急激に人口が増加することはないことが予想され、日本は人口減少社会に突入した。世界でも例をみないスピードで人口減少と高齢化が進んでおり、その影響が顕著である地方では、さらに過疎化が進むことが考えられる。人口の減少が進行することにより、住宅の需要は下がり、空き家の増加にもさらに影響を与える。また、国内総生産(GDP)の減少や、総労働力の減少に伴う日本経済の衰退、さらには年金問題など、多くの問題を誘発する。』(総務省統計局まとめ)と日本の現状は予測通りの結果になってしまっています。
我々はその問題に一石を投じる事ができる団体で、その問題解決を担うべき団体とも言えます。ただそれができる団体になるには、明るい豊かな社会の実現というJCの志を持った青年の数がより多く必要です。なぜならばより良い事業構築にあたり、多方面的な価値の提案や課題・発見が見いだせるからです。その価値を見いだせる団体だからこそ、人・物・会社・地域社会の成長、発展へと繋がるのではないでしょうか。黒磯那須青年会議所では設立当初から会員拡大を掲げており、先輩方が会員拡大を継続させてきたからこそ、今日も活動を止めることなくJC運動を続ける事ができています。そして卒業された先輩方とも今なお深い交流が保てるのも、その志があるからこそだと感じております。
会員拡大運動では、相手の現状を知り、相手の目線に立ち、課題解決を提案し、我々が行っている活動を1人でも多くの人に情熱や自信をもって伝え広げていく事が重要です。
多くの仲間と共に苦楽を分かち合い協力し、JC活動を面白い・楽しい・勉強になると言われるような団体を目指します。
若年層の政治的関心の向上
2023年は那須塩原市長選挙が開催されます。18年前の2005年市長選では投票率が59.0%に対し、2019年市長選投票率は49.9%で2005年以降少しずつ投票率が下がっています。これは2022年に行われた国政選挙の参議院議員選挙でも54.7%から48.8%と下がっており、全国的にもみられる傾向です。そして2016年6月から選挙権が満20歳以上から満18歳以上に引き下げられましたが、投票率は上がっていないのが現状です。
なぜ、選挙に行かないのか。そもそも政治に興味がない。各政党のマニフェストを読むことが面倒。投票にあたって何がいいって判断する価値基準が見いだせない。政党や候補者ごとの主張がわかりにくい。何を見て判断していいのかわからないなど様々ですが、私は家庭の場で触れる場面が少ないことが大きな原因だと感じています。
我々は、これからの日本を支える若者や社会人世代の想いや現状抱えている様々な課題を、政治に反映させなければいけない団体です。若年層を中心に若年層が望む政策を大人(行政)に届けるということをコンセプトに市民一人一人が政治的関心をより一層高め、意欲的に参加する事・投票率を上げる運動を目指します。
経済・経営力の向上
昨今、社会では競争力の向上と持続可能性が求められています。私たちの日々の仕事には常に競合他社が存在します。競合他社がいれば自社の強みや立ち位置の把握ができる反面、価格の競争や顧客の争奪戦にもなります。
ライバルが多く、薄利で競争が激しい市場、それが「レッドオーシャン」です。はたまた競争相手のいない未開拓な市場を構築することができれば、価値・利益・人材の確固たる確保が可能になる。すなわち「ブルーオーシャン」となります。
我々は日々様々な業種が集まって活動を行っています。それぞれが持っている価値観を効果的に組み合わせることで、時代に合わせたこれまでにない製品や大きく改善された製品・サービスなどを創出・提供し、生活様式あるいは産業構造に変化をもたらす事ができると思います。
これらを利用し、私たち企業の競争力向上と持続可能性をもたらす事業構築を目指します。
地域歴史探究
今私たちがここにいるのは、先人たちが切り拓いてきた道があるからです。先人たちは何を後世に残したかったのか何を残してきたのか。我々のルーツに繋がるものや想いがたくさんあると思います。それを探究・発見する事で郷土愛が生まれ、家族を大事にし、人のため、地域のために課題解決への想いが芽生えると考えます。
我々は先人たちの残してきた歴史・自然・文化を活かした街づくり、街の未来を担っていく子供たちが10年20年後を見据え、大人になっても今以上に豊かに過ごす事ができるまちづくり、また次の世代へと引き継げるような事業構築を目指します。
また、豊かなまちづくりには行政や関係団体、市民と新たな連携をしながら地域全体を動かすことが必要です。我々は今一度その連携の在り方を考え、より良い関係性を構築する事で持続可能なJC運動を発信していき黒磯那須地域に貢献できる事業にしていきます。
「友情・奉仕・修練」青年会議所の三信条を胸に対内対外活動への協力・支援
三信条は戦後日本青年会議所が設立される前の1950年にJC運動の行動綱領として生ました。私が考える三信条は、友情(人と人との信頼)、奉仕(社会的信用)、修練(自己成長)です。2023年度は50周年事業、那須野ふるさと花火大会、那須塩原市長選挙の他に、LOM外ではブロック事業、関東地区事業、日本JC事業などの事業が数多くあります。その事業の一つ一つに当青年会議所メンバー間での交流はもちろんのこと、対外の方々との交流も深められる機会があります。今まで自分が置かれた環境から飛び出して、今まで自分が接してこなかった人、違う事業、違う役割、違う環境など、様々な違いに触れることができます。決まりきったことを学ぶのではなく、違いに触れる機会が数多くあることで新たな発見・価値観が芽生え個々に活かす事ができます。より多くの仲間を巻き込んでJC運動を発信・波及させる事を目指します。
結びに
「JCに入る価値は?」「10万円の価値は?」拡大候補者や入会したばかりのメンバーからよく質問される言葉です。
JCI Mission:
To provide development opportunities that empower young people to create positive change.
JCIミッション:
より良い変化をもたらす力を青年に与えるために発展・成長の機会を提供すること
『「より良い変化」は、家族・友人といった人間関係、組織や顧客や取引先といった企業だけでなく、社会や国家をも変えていくことができます。「発展・成長の機会」というところは、能力と、人脈と、実績です。これらを得ることのできる機会を青年会議所では提供しています。あくまで機会であって、発展・成長を約束しているわけではありません。個々で機会をつかまなければ、何も起こらないのです。』(公益社団法人日本青年会議所2019年度会頭 鎌田長明氏 Noteより引用)
つまりJCに入る価値も10万円の価値も、自らの考え・想い・行動次第で無限大に高める事ができる、青年会議所はそういった団体だと私は思います。
2023年度は前述でも記したようにたくさんの事業があります。メンバーの皆様、共に一つ一つの事業構築に携わるにあたり、苦労して完遂させていきましょう。青年会議所で苦労を経験する事は、日常生活の踏ん張りどころの器(限界)が拡がります。自身の器の大きさを決めず、器を拡げることに挑戦する年にしていきましょう。
私は当青年会議所の扉を叩いて本年で9年目になります。今日までの先輩方の言葉や行動、様々な事業で培ってきた想いを胸に、新たに挑戦する事にも臆せず1年間仲間と共に目一杯運動してまいります。またOBの皆様を始め、関係諸団体の皆様のご指導ご鞭撻、そしてご協力をお願い申し上げ理事長所信とさせて頂きます。